週末は図書館 「地下鉄道」 海王星

  • 2018.01.10 Wednesday
  • 12:09

みねんこです。

二週に一度のペースで区立図書館へ。週末に図書館に行くのは小、中学生のころと同じだなぁと思いました。推理小説、大衆小説、活字好きの母の影響です。

 

大人になってから母の本選びを聞いて驚きました。背表紙を見てなんとなく手にとってパラパラと早めくりして活字の並びを「感じとって」好きそうな本かどうか、借りるかどうか決める。

作家名やタイトルがまずは目に入るのですが、二十年におよぶ図書館通いで何を借りて読んだか、内容がどうだったか、九割がた忘れているとのこと。面白かった本もあらすじをあまり覚えていなくて、印象的なシーンを脳内映像で覚えているらしい。知っている話と似ているなと感じながら読み進め、そのシーンまで行って、読んだことある!と認識する。

背表紙と活字模様で同じ本を引きがちなので、読み始めてコレはツマラナイと思って中断した本も、またうっかり借りちゃうらしいです。

これを読んでみたらどう、これが面白かった、などと読書内容の会話が母とほとんどなかったわけがなんとなく理解できました。

 

 

 2017年の最後に借りた本

 

最近読んだ本。コルソン・ホワイトヘッド「地下鉄道」は19世紀前半のアメリカが舞台。奴隷身分や人種差別のテーマですが集団心理だけでなくいろんな立場に生きる個人個人を書いています。黒人奴隷、自由黒人、農園と奴隷の所有者、売買や斡旋する人、逃亡奴隷を捕まえるプロ、奴隷州から自由州への逃亡を手助けする地下ネットワーク、一般の人びと。

 

18世紀後半にイギリスの植民地ではない独立したアメリカ合衆国が誕生。19世紀になるとヨーロッパ大陸から自由を求める多くの人間が渡り、アメリカ独立以前から多くのアフリカ黒人が奴隷として輸入された。「地下鉄道」の主人公の祖母がそのひとりであり南部ジョージア州の綿花プランテーションに売られてきました。主人公の少女コーラとその母親はそこで生まれたときからの奴隷黒人です。

 

物語には奴隷身分ではなく自由身分に区分される黒人もでてきます。「誰かの所有物である=奴隷」でない状態を指して「自由」と言い表します。と言っても白人との間におおきな隔たりがあります。

黒人を酷い目に合わせるのは白人たちに限りません。仲間や家族の不都合な秘密を権力者に差し出したりする黒人も出てきます。共同体から黒人を締め出そうとする白人同士の間でもそうです。共同体から疎外され生きる場所を失うことを避けるために「自由」の身分となることを諦めます。そもそも自分たちで生きていく方法が思い描けない状態に置かれています。これは貧しい白人の場合も似たような感じです。逃亡する主人公もそれを追う側の登場人物も、人間のろくでもない面ばかりに遭遇する辛い人生を語ります。

 

さまざまな境遇にある黒人やヨーロッパからきた貧しい白人、自由と可能性を求めて東海岸から内陸に向けて進みます。人びとが西海岸に到達するのは開拓する土地があったからという単純な理由だけではなく、今の場所には安全には暮らせないという緊張があるという理由の方が大きなエネルギーかも。生きる未来がないからどこかへ移動する。

安くて便利な働き手として連行した黒人の人数が白人より増えたことが誰の目にも明らかになってきたとき、強い緊張が生まれます。誰もかれもがサバイバル、生きることは、不幸な運命に抵抗し逆らうこと。

 

自分自身の安全を守るために頼りにできる法が整備されていないなかでは、金や力を持つ人のまわりに信用関係が生まれ、身分や立場を区別して、利用する・されるの関係でつながっています。しかし金の切れ目が縁の切れ目となるので、経済環境がまずくなると厳しい。

物語背景はそもそも人を信頼することは危険であり、信頼できる人間関係を見つけるなんて絶望的な状況が描かれています。そんな状況なのに「地下鉄道」という奴隷州から自由州へ逃亡を助けるための見えないネットワークが生まれます。というか、あるらしいと小声で囁かれ続けている。公的な活動ではないので誰がリーダーなのかメンバーなのか支援者なのか、本人たちも全てをはっきりと理解しないまま運営されている。

個人が全貌を知らないので危機的な出来事があっても仲間を売るができません。そのかわり、あいつは関係者らしいぞ、という噂が生まれて無関係の人が巻き込まれることもある。

 

物語から30年くらいたって、南部の奴隷州(黒人奴隷労働によるプランテーション経営が盛ん)、北部の自由州(奴隷制度ではない労働力により工業化したい)の対立激化でアメリカ南北戦争となり、リンカーンの奴隷解放宣言が出ます。以前の占星術WSで扱ったオルコット「若草物語」は、南北戦争の戦地に赴いた父親の不在に母親と4姉妹が留守番をするひと冬の出来事です。

 

「地下鉄道」と「若草物語」の中間時期、1846年に海王星が発見されて、占星術的には魚座のルーラーとなりました。

奴隷解放が宣言されると奴隷によって成り立っていた経済的な豊かさは立ち消えます。土星木星が作り出す社会価値や現実感覚がずっと続くだろうという幻想も、海王星てきなのかもしれませんww

海王星・魚座は自己犠牲や報われない結果を表すときもありますが、目の前の厳しい現実に押しつぶされずに、乗り越えていくために欠かせない夢でもあります。ひとり眠るあいだに見る夢ではなく大勢が心から願い祈ること。

 

地下ネットワークを利用するか否か、いつ行くか、誰と行くか、ひとりで行くか、風に乗って手に入った情報をどう活かすか、これは個人の判断です。主人公が決断を迫られる場面が続きます。能力や知力だけではなく運と直感も幅を利かせます。物語は200年前のことですが内戦や紛争が起きているところに生まれれば現代でもまったく状況は同じなのかもしれない。

 

著者のコルソン・ホワイトヘッドは1969年生まれ、蠍座太陽です。

天秤座に4天体。金星木星の合、天王星と月がゆるい合。この月にカイロンがオポジション、水瓶火星トライン。

水星は蠍座で、土星とオポジション。ここに火星がゆるく不動サインのTスクエア。

 

ライターですが長編5作目「ZONE ONE」が2011年のベストセラーになりました(SFらしいが邦訳なし)。個人天体の対向牡羊座にトランジット天王星が入ったこの年、木星も牡羊座に、土星は天秤座で風が吹いている感じです。

6作目の「地下鉄道」は2016年に刊行。時代背景が丁寧に織り込まれていて、同時に大きなフィクションの仕掛けがあってドキドキします。2017年ピューリッツア賞を受賞。ソーラーアークの冥王星=太陽、トランジット木星は天秤座から蠍座へ。

 

日本では昨年12月に刊行され、図書館の新刊コーナーにピックアップされていました。わたしのあとに次の予約が入っていたので貸し出し延長が不可なので頑張って読み切りました。と言っても一気に読める面白さでした。

早川書房のサイト(第1章が無料公開されています)

 https://www.hayakawabooks.com/n/n2ccee55c2b37

 

 さて2018年スタートに借りた本はどんな感じかしら

 

前に借りた「雪のかなたに」という短編がよかったので、スーザン・ヒル「ガラスの天使」をピックアップ。

エリザベス・ボウエンはイギリス作家。書架に4冊あってどれも面白そうで悩みました。年次の若い作品と短編集を。まずはボウエン「パリの家」から読み始めました。なかなか好みです。

 

(おわり)

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